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自力念持と他力一乗

原理の違いによる二種類の技法

霊的反射神経

煉誠館の技法は、原理の違いによって、「自力念持」と「他力一乗」の二種類に分類されます。

自力念持は、自分自身の意思や思考によって力を出し、相手に働きかける方法です。反復稽古で培われた技の練度と、慣れや意識の広がりによる勘の良さを掛け合わせ、大きな力を発揮します。呼吸法による丹田(気)の強化や、脱力によって効率的に体を働かせる身体操作も、この範疇に含まれます。

もう一方の他力一乗は、自分自身の努力ではなく、他の存在の力をお借りすることで目的を達成する方法です。ここで言う他力とは、対面する敵を指すのではなく、いわゆる「目に見えない存在」として認知されるものが対象となります。

神仏、自然、気、潜在意識、この世の法則、などと言われるものに近いかもしれません。

己の意識を薄めていき、あるがままを受け入れ、執着を捨てて自他の境が消えた時、普段とは全く異なった力が発揮されることがあるのです。そのような働きを、当流では「霊的反射神経」と呼んでおり、稽古の中で、この他力一乗の感覚を養っていくことが、上達への重要課題となります。

無論、簡単なことではありません。何年も稽古を続けて、ほんの一瞬だけ垣間見れるような、繊細な感覚です。が、それを追い求めることで、武術は、新しい価値を獲得するのです。

武術の要諦は心の中に

ゆえに初学者は自力念持から入って意識を強化し、年月を重ねるにつれて、他力一乗の世界へと踏み込んでいきます。
自身の体を精密に観察すると、思い込みや惰性的な習慣で動いていることが分かります。また、身体の表面に現れる動きは、心の働きと密接に関わりあっていることに驚くことでしょう。

そして、武術の要諦が「心」にあると体感したとき、あらゆる技法は、一つ上の段階へと進みます。階段を一歩ずつ上がっていくように、少しずつ、少しずつ、本質へと迫ります。それは、武術という範疇に収まらず、「人間の本質」に近づいていくと言えるのかもしれません。

武術を始めたころ、あれほど大切にしていた「勝ちたい」「負けたくない」という「自分本位」の感情は重視されなくなり、代わりに、心の奥底にある人間本来の善性が浮上してきます。

武術を通じて心の穢れを祓うことによって、あるがままの存在を取り戻し、結果、世界にとって最良の成果を引き寄せる。それが他力一乗が目指すところであります。

技法を練ることによって得られるのは、戦闘行為の勝利だけではありません。自分が生まれてきた意味を知り、有意義な人生を送るための智慧こそが、武術が与えてくれる最大の恩恵であると煉誠館は考えています。

自力を礎にして、他力に至る。武術の技法は、自己の精神を高めるための、優れた方便なのです。

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