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煉誠館サイト開設に寄せて

2015/10/02

この度、煉誠館のサイトを開設いたしました。
現在、制作中の部分も残っておりますが、追って内容を充実させて参ります。

今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

誰もが正義の人になる時代

さて、私が、煉誠館の前身である煉誠塾を立ち上げたのは、平成17年。おおよそ10年くらい前になります。

あの頃と比べ、世界は大きく変わったとも言えるし、何も変わってないとも言えます。

一つ、モバイル機器の発達と、ブログ、フェイスブック、LINEなどのソーシャルメディアの台頭により、誰もがすぐに情報を発信できるようになったのは、とても重大な変革であると感じます。他人とのつながり方、距離感が急速に変化して、めまいを覚えるほどです。この点については、本当に大きく変わりました。

デジタルネイティブと呼ばれる若い世代は、ごく自然に自分を主張し、自分が見せたい自分の姿を発信しています。私たちの世代も、インターネットで様々な情報にアクセスするのは当然だし、他人との交流にも、このようなツールを当たり前のように用います。

それでもやはり、当然ですが、人間の本質は変わらないままです。世の中が便利になれば、心は満たされ、平和になるかのように思えます。が、便利さを享受して満たされているはずの国々でも争いは絶えないし、日本国内でも、わけのわからない殺人事件は減りません。

インターネットの世界では、誰もが王様であり、正義の人になり得ます。スマートフォンの画面に映る自分は、目の前にいない誰かを攻撃することも自由です。匿名性に守られたまま、言葉遊びのように揚げ足を取りながら、相手を論破することに喜びを覚える。世のため人のためという大義名分を自己の満足にすり替える。

他人との距離が曖昧になったがゆえに、隣人も自分と同じく精一杯生きているということも忘れそうになる。そんな危険性を孕んだ時代ではあると感じます。

個人的には、インターネットは人類の手に余るツールだと感じていますが、もう引き返せないので、そんなことも言っていられません。情報の多様性を手に入れたことで、一握りの権力者が民衆を扇動することも難しくなったという側面もありますし、悲観するばかりではないのでしょう。

自身の内面と対話する時間が大切

とにかく、玉石混交の情報の中で自分の立ち位置を決めなくてはならない我々にとって、これからはより一層、自分を客観視するスキルを磨く必要があるのではないかと感じる次第です。

正直なところ、とても難しい時代になってしまったと感じます。器用に生きられない者にとっては、とても息苦しい時代でしょう。

自分の好きな情報だけに囲まれ、馴れ合いのような交流ばかりでは裸の王様になってしまう。裸の王様どうしが小競り合いをしていても、何も解決しません。

逆に、情報から遠ざかり、耳を塞いでしまっては、自分勝手な思い込みが膨らんで現実が見えなくなる。現実を見る努力を怠れば、井の中の蛙となって、孤独になってしまうかもしれません。

そんな時代だからこそ、自身の内面と対話する時間が大切なのだと、私は感じています。
どんな状況に置かれても、自分を信じられるか。正しい道を歩いていると思えるか。そして、自己本位ではなく、他者と共感することで心を暖められるか。

不安の裏返しの、虚勢のようなプラス思考ではなく、心の内側にある「確信」の源泉に触れること。それが、自他を守る護身術になるのではないかと、10年前と変わらず私は感じています。

「精神的武士」が集う場所として

サイト内のいたる所に書いておりますが、武術は、単に敵を打ち倒す技術ではありません。自分と向き合い、日々に確信を得るための方法論です。武術を深く学ぶことによって、自身の内面と対話することができれば、この複雑な時代の中でも、自分の立ち位置を見つけていけると私は信じています。

そして、武術という手段によって人生をより良い方向に導くことができるのであれば、ほんの僅かかもしれないけれど、自分の立ち位置を見つけられずに悩んでいる人の力になれるのではないか……そう考えています。現実に、武術によって救われ、生かされている者がここにいます。

あれから10年。煉誠塾から煉誠館へと名前を変えて、サイトも新しくなりました。
どのような形になっていくかは分かりません。が、武術を通して自身を磨くという志を持つ者「精神的武士」が集う場所として、もっと盛り上げていきたいと考えています。

そして、サイトを通じて情報を発信し、ほんの少しでもいい、悩みを抱える人の力になれたらと、そんなことを願っているのであります。

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